ノッキングによるダメージ


修理依頼を頂いたお客さまのヘッドです。

ヘッド面中央部吸気側にノッキングによる強いダメージがありました。
ガスケットのビード痕に沿ってアルミが剝ぎ取られたように窪んでいます。
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ノッキングのダメージは点火プラグから遠くて高温になる部分に発生しますから、
プラグの反対側、冷えにくいプッシュロッドのトンネル付近、まさにその辺りですね。
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黒い部分は特にダメージが大きく、繰り返しノッキングで攻撃されたのでしょうね。
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通常、プラグで点火された炎は順次広がって全体が燃えますが、ノッキング発生の条件が揃うと、
プラグから遠い未燃ガスは圧縮され、発火温度に達すると勝手に燃えるんですね。
(低速高負荷時は燃焼行程の時間が長く、エンドガスは炎を待たずに発火しやすい)
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プラグに近い部分ではノッキングのダメージはほとんど無いですね。
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ノッキング」 とは異常燃焼のことで、混合ガスがプラグの炎が届く前に勝手に発火する現象です。
低速高負荷、過早点火、高温の条件が嚙合うと混合ガスが自発火するんですね。(ガスの薄過ぎも原因の一つ)
もう、「燃焼」というより「爆発」的にガスが燃えますから、短時間で超高圧になります。
繰返し高圧波を受けると、燃焼室壁面を保護している「静止層」が破壊され、高温に曝されてでダメージを受けるわけです。
ガソリンエンジンの「癌」と言われています。

ノッキングが起きる位のセッテングは、エンジンの性能を発揮してくれる領域に入っているということですが、
大事なのは、ノッキングが起きた時に、早く回避する算段を取ることです。
ノッキングが長く続くことがダメージにつながります。

写真のヘッドは相当なダメージを受けてますが、それまでの間エンジンは高性能な走りをライダーに提供してきたのでしょうね。

W1の場合、ノッキングの原因はガバナーの暴走進角が一番考えられますが、
起きたら、アクセルを緩めるとか、シフトダウンで回転を上げるかして、長くノックさせないことが大切ですね。

「ノックは3回」・・・なんてネ・・・(汗)




























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商品・工賃 価格改定のお知らせ


いつも弊社のブログを見て頂いてありがとうございます。
お陰様で、4月から創業7年目に入ります。

ユークランクはこれまで、創業以来価格を据置いて商品・サービスを提供してまいりましたが、
この間の仕入材料・外注工賃の値上がりで、現価格での供給は難しくなってしまいました。

大変恐縮に存じますが、4月より商品及び修理代金の価格を改正させて頂くことになりました。

なお、3月中の注文や依頼分につきましては、従来の価格で供給させて頂きます。



4月1日からの新価格(標準仕様・税別)

商品
①オイルフィルターキット           :20,000円
②エンジンワッシャーキット          :3,000円
③キャブレター取付用薄型ロックナット     :800円
④エキマニキット                 :60,000円(変更なし )

整備
①メインスタンド改修(新シャフト付)      :18,000円
②ガバナーリビルト               :20,000円
③ダイナモオーバーホール            :15,000円
④クランクオーバーホール(単体 )       :90,000円
⑤バルブガイド打替え・バルブ整備       :50,000円
⑥シリンダー整備(ボーリング・タペット )   :35,000円
⑦キャブレターオーバーホール(左右 )     :30,000円


ごひいきのお客様にはまことに心苦しいのですが、ご理解頂きますようお願い申し上げます。











1キャブヘッドのネック

1キャブヘッドの、いわゆる元祖「W1」は根強い人気がありますね~。
フィンの形状が良くて、キャブも調整し易く、何よりメグロK1・2に近い柔らかな走行フィーリング。
W1を愛するオーナーも多いようです。

そんなオーナーのKさんから、最近、白煙が出始めたとの相談がありました。

ヘッドを分解してみると、Lサイドの燃焼室が湿っています。
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特に吸気バルブ周りからはオイルが滲んでいますね。
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バルブ周りを分解すると、吸気ガイドの周りにクラックが入ってました。
ここからエンジンオイルが吸って「オイル下がり」を起こしたのが原因ですね。
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これは別ヘッドの写真ですが、レッドチェックでRサイドのクラックが入っている様子が分ります。
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これは、1キャブヘッドには良くあるトラブルで、困ってるオーナーの方が多いです。


この部分の肉厚が薄いのでしょう・・・L,Rどちらかのサイドで発生します。
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ガイドを抜いて溶接修理を試みましたが、患部にトーチが入りきれず、うまくいきませんでした。


何とか直そうとトライの末、写真のような「つば付きカラー」を嵌め込む方法に行きつきました。
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ポート側から見ると、ガイドの周りのカラーがかすかに確認できますネ。
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実際に走って確認したところ、大丈夫でした。
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加工はかなり大変ですが、ヘッドが復活するのはとても嬉しいですネ~。



















w1の魅力とは・・・ 雑誌記事から


「W1の魅力」とは・・・

W1の魅力を言葉で表現するのは難しいですね。
古い本を読み返してみると、著名なオートバイジャーナリストはしっかり書き留めてありました。
W1の魅力について、何とも味のある文章が綴られてあります。
’80~’90年代のものですが、印象深い記事をご紹介します


「摺本好作のバイク・イラストレイテッド」 摺本好作 著 1985年
「ゴロゴロ ゴロゴロ 石臼をまわす音にそっくり。
あの重い ひとまわし ひとまわし に力と思いをこめてまわす。
W1にはそんな雰囲気があって忘れられない。」
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「わが思い出のオートバイ 45」 Clubman誌 №65 小野勝司さん
「このW1がイギリス車を手本として設計されているにかかわらず、友達のトライアンフやノートンの方が品格があるのは何故? という疑問等も提言してくれた。
しかしである。今となってはこの未熟とも言えたW1が、思い出の中に印象深く残っているのは何故なのだろう。心に残るわが思い出のオートバイは、このw1が筆頭だ。
オートバイって奴は、単なる機械であるより先に、人間の感性を刺激するものであって、
そうしたマシンの方が多くの人たちに長い間に渡って受け入れられるのではないか。
感性に訴え掛けるようなオートバイって・・・、いいんだよなぁ、本当に。」
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オートバイグラフティ」 中沖満 著 1984年
「バーチカルツイン独特の排気音は、ダイナミックで忽ち‶ダブワン・サウンド〟が重量車ライダーの憧れとなる。
キックする姿、アイドリング時にピリピリとふるえるフロントフォークやタイヤに心をふるわせるファンが増えてゆく。
W1のコーナリングは中々手強く、癖のあるものでこの重量車を力でねじ伏せるようなテクニックと腕力が必要で、それがまたダブワン乗りにとっては、たまらない魅力になった。
振動も右チェンジも日常の増締めもファンにとっては決して億劫なものにはならなかったからダブワンは当初販売店をとおしての注文生産にもかかわらず着実に愛好者を増やしてゆくのだった。」
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それから、
ずっと気になっていたクランクに関する記事、ここでは現在の単気筒の乗り味の味気無さを論じていますが、W1(単気筒が2つ分のようなクランクですから)にも当てはまると思います。

英車天国第2回(別冊モーターサイクリスト №152)「ブリテッシュシングル」 富成次郎さん
「この味気無さは一体どこから来るのであろうか?
私はひとえにフライホイール総重量が軽すぎること、コンロッドが短すぎるのではないかと思っている。
クランクが軽いと、吹け上りは速いが、なんともトルク感に欠けるエンジンになってします。
コンロッドが短いと、ガツガツしたあさましい味付けになる。逆に長いと粘るようなしなやかさが得られる。
問題はやはりコンロッドの長さにつきるのではないか?」(抜粋)
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Wに乗ってる人にすれば「うんうん・・・」と同感ですが、
乗ったことのない人にはどう響くのでしょうか。

一度乗ってみたいっ!」・・・と思ってくれる人が出てきたら嬉しいですネ~。





















フライホイールとバランサー

ストバイ誌183号「Wの奇跡-Ⅱ」の記事で、編集部は‟オニギリ”形のフライホイールに迫ってますね。

結論から言うと、この「幅が狭くてオニギリ形状のクランク」がW1の魅力の源だと私も思っています。
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まず、
「W1ファイル」によると、オニギリ形状のこの部分は、「バランサー」と呼ばれています。
両サイドから、シャフトと一体のクランクピンが圧入され、ケースの中央で回っています。

バランサー
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    左がW1~W1Sまでの前期型、    右がSA~W3までの後期型

「フライホイール」でなくて「バランサー」と言っているところに何かあるのでしょうか。

クランクの回転を滑らかに安定化するのが「フライホイール」(はずみ車)ですから、
円形で径が大きく、重い方が慣性マス(慣性モーメント)が大きくなって効果的なので、ドーナツ形状にするのは定石ですね。

メグロK型(左)、K2型(右 )の一体式クランク (共に500㏄)
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中央のドーナツはまさにフライホイールですよね。


当時、カワサキでは、時間的・経済的理由から、
W1の設計は、「K/K2型のレイアウトを踏襲する」という方針が立てられました。

しかし、その中においても、
K/K2型の「一体式クランク」に対して、ニードルを採用した「組立式クランク」に大変更しました。
当時のメタル事情と高回転化を考えてニードルの採用に踏切ったのでしょう。
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ロッド大端部にニードルを採用するには、組立クランク構造が必然で、圧入部の剛性が求められます。
一方、K/K2型並みのクランク幅が要求されていますから、気筒間に軸受を設けて強化することはできなかった。
設計者は相当苦心したと思います。
狭いクランク幅を実現するために、バランサーに左右から圧入する方式に至ったのだと思います。


そんな苦しい設計の中で、異形のバランサーを採用したのはなぜなのか? 
ドーナツ形状のフライホイールで良かったのではないか?

厚くて長い圧入円環部を確保して剛性を保ちながら、・・・なんでオニギリ形状に至ったのか
とても気になるところですが、「W1ファイル」を読んでも、そこのところは出てきません。


勝手な想像ですが、
カワサキは、試作を進める中で、このオニギリ形状が醸し出す「鼓動」に注目したのではないか。
そして、その後の困難を承知の上で「他車とは異なる独特な乗り味」を採用したのではないか。

後から思うと、
狭いクランク幅でオニギリ型バランサーに決まった時がW1が生まれた瞬間だったのでしょう。
そして、このバランサー形状こそ、W1の運命を決めた設計だったのではないか。

K/K2型に倣ってドーナツ形状のフライホイールにしておけば、アメリカでの振動問題は起きなかったかもしれないが、
同時に、W1の魅力も生まれなかったのかもしれませんんね。



クランク中心に勝手な推論を長々と書いてしまいましたが、

W1の魅力を言葉にすると、
「エンジンの鼓動を感じ、排気音を堪能しながら、
まるで蒸気機関車を操縦しているような、今まさにバイクで走っている・・・」
ってなことでしょうか。

技術者が、困難の中で独自性を貫き、永く愛されるバイクが誕生したのではないでしょうか。

こんなクランクの生立ちを考えながら、W1で走るのもまた楽しいかも知れませんネ~。(汗)







































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(ユークランク)

〒418-0006
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代表 植澤 勉

TEL:090-1863-8414
FAX:0544-58-2427
e-Mail:info@u-crank.com

当社「U-CRANK」はカワサキバイクW1エンジンのOH(オーバーホール)を行います。
従来困難とされてきたクランクシャフトも完全分解して特製ニードルに交換します。
精度の高い組立てはエンジンの振動を減少し快適な走行を実現します。
W1は製造されてから既に40年経過しています。
分解するとオイル通路に堆積したスラッジによりダメージを受けているクランクが少なくありません。
故障する前に是非早期のOHをお勧めします。
お気軽にご相談ください。

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