FC2ブログ

ガバナーのダメージ

これまで修理に届いたガバナ―の写真を整理してみると、ダメージを受けたものが少なくありません。
そのダメージの大きさは想像を超えるものがあります。
如何にガバナーは過酷な条件で作動しているかということでしょうか。
その例を挙げてみると、

スプリングが外れてどこかに挟まって変形してしまった。(多分)
これはまだかわいい方ですね。




ウエイト孔やピンの摩耗は当たり前・・・
IMG_6000.jpg




シャフトが折れてしまった例も・・・
IMG_0004_20200222164251d89.jpg



どうしてこんなことが起こるのか・・・
IMG_0011_202002221642567b3.jpg



ウエイトが千切れた例も(絶句)
IMG_0007_202002221642545d1.jpg



ブレーカーケースの中はグチャグチャです。
IMG_0006_20200222164253aec.jpg



すごい力が働いている・・・・?
IMG_0013_20200222164259246.jpg



カム駆動ピンの根元に亀裂が・・・
IMG_9776.jpg










スポンサーサイト



ガバナー ウエイトシャフト周りの整備

ガバナーのウエイトシャフトです。
長年の作動でウエイトシャフトや孔はかなり摩耗しています。
IMG_0009_3.jpg



遠心力でウエイトが外側へ行こうとしますので、シャフトはウエイトの反対側が摩耗していきます。
IMG_0008_1_2020022017202644d.jpg



摩耗具合を確認するには、コンタクトブレーカーを外して、ウエイトを指やフックで動かしてみると分ります。
IMG_0005_2.jpg
途中で整備されてない限り、ほとんどの場合はガタガタです。



摩耗がかなり進んだ例です。
IMG_6000.jpg
これでも進角はするのですが、遠心力の小さい低中速時はウエイトの位置が定まらず、
点火時期がふらついてエンジンの回転が不安定になります。



新品のガバナーAssyはもう出ませんから、何としても直すしかないですね。
減ってるシャフトは交換します。古いピンをカシメ部分を揉んで抜取ります。 
IMG_0007_1_20200220175945c40.jpg



ピンを抜いた状態
IMG_0009_4.jpg



特製ピンをカシメます。
径を太くし、摩耗しにくいように表面を軟窒化処理で硬くしてあります。
IMG_0015_20200229171019542.jpg



カシメが終了し本体と一体化した状態。
IMG_0053_20200220172036b12.jpg
溶接すると次が無いので、カシメてシャフトと一体化します。



ピンが太いので、そのままではウエイトは入りません。
IMG_0021_1_20200229171022427.jpg



ウエイトの孔を横ホーニングで広げます。
孔はいびつに摩耗しているので、ホーニングで内径と表面を仕上げます。
IMG_0004_2_20200229171015943.jpg



孔は真円に近づき、表面も滑らかになります。
IMG_0005_3.jpg



ピンにピッタリ入るまでホーニングします。
IMG_0002_1_20200229171533846.jpg
あまりシックリしすぎると進角が減るみたいなので、僅かにガタを確保します。



グリスを塗ってクリップで止めてスプリングを架け、カムを組んで組立完了です。
IMG_0012_2_20200229171534832.jpg
これから40年持ってほしいですネ。(汗)










スプリングフック部摩耗修理 レザー肉盛溶接

「レザー溶接」は、プレス金型のエッジの摩耗や欠落の修正などによく採用されています。
最小限の加熱で細部を正確に溶接や肉盛りをすることが可能なので非常に有効です。
燃焼室のアルミ溶接等々、修理の領域が大きく広がりました。

弊社でも数年前から、ガバナーの摩耗部分をレザーで溶接・肉盛してもらっています。



何とも嬉しい光景です。
IMG_0005_20200204173927b3c.jpg


以前、TIG溶接を試みましたが、フック部全体がペロっと溶けてしまいました。
IMG_0008_20200204173928472.jpg


この部分はしっかり肉が無いと、スプリングの張りが安定しない上、いつ折れるか不安です。
IMG_0009_202002041739305a6.jpg

W1をはじめ、旧車の部品の新規調達は困難なので、現行部品をうまく治して整備していくしかありません。
最小限の費用で直し、新車の時の様な動きをしてもらう時に、このような新しい加工技術の普及はとても有難いです。










ガバナー スプリングフックの摩耗修理

弊社では、数年前からガバナーのリビルトを承っておりますが、
依頼品の中に、ウエイトの戻しスプリングのフックの摩耗が進んでいるものが増えてきています。

何か手を打たないと、フックが折れてスプリンが外れてしまうと想像されます。
外れないまでも、適切な進角性能を保てなくなり、良好なエンジン特性を発揮できなくなります。

フックの摩耗の例



ウエイト側の穴の摩耗の例
IMG_0005_20170930111051a01.jpg


何とかしなければと確実な肉盛りの方法を探した結果、「レザー溶接」に行きつきました。
これならば部品を傷めず、摩耗部分を最小限の熱負荷で正確に溶接肉盛りしてくれます。

フック側のレーザー溶接例
IMG_0008_1_20170930105801953.jpg


ウエイト側の溶接肉盛り例
IMG_0006_20170930111052f2c.jpg


これでより適正な点火タイミングに進角してくれます。
IMG_0026_20170930105931eb3.jpg
最近38Tのリヤスプロケットを装着する人が増えてきてますが、
低速の負荷が増すため、2,000回転付近は正確な進角特性が要求されます。
点火進角はフィーリングに影響大で、うまく合っていると「W菌」が大量増殖する訳です。(嬉)

「レーザー溶接」は大分普及してきてますが、まだ工賃が高いのが難点です。
弊社ではリビルト修理の中で、摩耗部分を1カ所2,160円(税込)で別途お受けしております。






















ガバナの組付け

続いてガバナ装着の様子です。

リビルトしたガバナをケースに差込み、アルミ棒を介して頭を軽く叩きます。



軽く叩いて進まなくなったらOKです。 
IMG_1904.jpg


反対側へ回って、カラーとキーを装着します。
IMG_1895.jpg


クランクシャフトを回して、カムギヤのBマークとガバナギヤのポンチマークを合せてギヤを嵌めこみます。
IMG_1897.jpg


ナットを締めて、ロックワッシャーを効かせます。 
クランクを2回転してギヤの噛みあいが合っているか確かめます。
IMG_1898.jpg


コンタクトブレーカーを取付け、点火時期を合せます。
正常の位置(クランクの赤マークが覗き孔の中央)にしっかり合せます。
IMG_1909.jpg

ゆっくりキックしてスムーズに回るかチェックします。問題なければYカバーを被せます。


クランクシャフト端のオイルシールリングにたっぷりオイルを塗っておきます。
IMG_1900.jpg


Yカバー側にもオイルを塗ってそっと嵌め込みます。
ビスねじを締めて終了です。
IMG_1901.jpg


軽く書きましたが、部品を組んだら、手や工具でクランクをゆっくり回して作動を確認してから次に進みます。
回転が重くなったり、異音が出るときは要注意! しっかり確認します。
要所にオイルを塗ることも忘れずに!















ガバナの取出し

前回、キャブを整備することによって、先に組付けていたガバナのリビルト効果を確認できました。
両者が揃わないと効果が感じ難いんですネ~。
そんな訳で、今回はガバナの取出しと取付けの様子をご紹介します。


まずポイントカバーを外し、コンタクトブレーカーを外します。
IMG_1880.jpg


これでガバナが覗けますので、スプリングのヘタリやウエイトのガタをチェックできます。
IMG_1881.jpg
ガバナの状況が良くないようなら、リビルトをお勧めします。


ガバナを取出すにあたり、まずYカバーを外します。
ショックドライバーを使うと気楽に外せますネ。



Yカバーを外すとギヤ類が現れます。左上がコンタクトブレーカーギヤです。
IMG_1865.jpg


ロックワッシャーを解除し、ギヤナットを緩めます。
IMG_1869.jpg


ガバナシャフトからギヤを外します。
ここではプーラーで抜いていますが、キーのみですのでプーラーが無くても外れます。
IMG_1871.jpg
簡単なプーラーを持っていると、他のギヤを抜く時にも使えます。


ギヤを抜いた後、カラーとガバナシャフトキーを外します。
IMG_1876.jpg


シャフトの端を傷めないようにアルミ棒などを当て、軽く叩いて打ち出します。
IMG_1883.jpg


無事ガバナ(Assy)が取出せました。
IMG_1890.jpg









ガバナーのリビルト③

それではガバナーをリビルトしていきます。

ガバナー本体に新しいシャフトを組付けます。
IMG_2090.jpg


分解前と同様、裏側でしっかりカシメて一体化します。
IMG_2091.jpg


ウエイトにもカム駆動ピンを打込みます。
IMG_2096.jpg


太くなったシャフトに合わせてウエイトの穴をホーニングで広げます。
隙間が最小限になるよう何度もシャフトに嵌めながら少しづつ広げていきます。
IMG_2104.jpg


装置は横ホーニングマシン!
ペダルを踏むと、白い砥石が回転しながら張出して穴の中を研磨します。
IMG_2112.jpg


無事に仕上がりました。穴の表面の状態も良好です。(嬉)
IMG_2119.jpg


部品の加工が終わり、組立てに進みます。
シャフトにグリースを塗布してウエイトを組付けます。
IMG_2127.jpg


ウエイトを組んだ後にeクリップで止めてスプリングを架けます。
IMG_2128.jpg


ポイント開閉カムを組付け、大きいeクリップで止めて完成です。
IMG_2134.jpg
スプリングの遊びは微妙なので、フック側で調整して遊びが無いようにします。

ガバナーを整備すると、エンジンの回転が落着く感じがよく解ります。
特にアイドリングは安定して回ってくれます。

これから40年もって欲しいッス・・・もう居ないけど(汗)

ガバナー単体のリビルト代金は23,000円(税、送料別)です。






ガバナーのリビルト②

点火タイミングとキャブレターの調整は、整備したエンジンの「味付け」にあたりますネ。
料理に例えると、調味料で味を調えますが、これで俄然材料が生きてくるんですネ~。

点火タイミングはエンジン回転数毎にいいところがあって、すなわち「最適点火時期(MBT)」、
それに近くなるようにガバナーで調整されています。

W1のガバナーは回転数に添って遠心力でウエイトを広げてカムを進めている訳です。
スプリングはウエイトの暴走を規制しているんですネ~。


前置きが長くなりましたが、こんな重要な働きを担うガバナーをリビルトします。

まずは分解! ポイント開閉カムを外したところです。



スプリングとクリップを取って両方のウエイトを外します。
IMG_2065.jpg


シャフトは少し減っていますネ。
IMG_2067.jpg


ウエイト穴の方が広がっている場合が多いですネ。
IMG_2103.jpg


ウエイトに打込まれたカムを動かすピンも減っています。
IMG_2073.jpg


本体にカシメられているシャフトを後ろからドリルでもんで抜取ります。
IMG_2080.jpg


ピンも抜取ります。
IMG_2076.jpg


リビルト用の新品パーツです。
シャフトとピンはチョット太くし、表面処理で磨耗しにくくしてありマス!
IMG_2088.jpg



「ローテクだから直る」・・・の感が強いですが、ならば徹底的に直そうと思います。















ガバナーのリビルト①

コンタクトブレーカーポイント」、いわゆる「ポイント」は旧車の象徴ですネ。
色々悪さもしますが、これが無いとなんとも寂しく、旧車に乗ってる気がしない・・・(汗)

このポイントを開閉するカムがついているのが「ガバナー」(governor) です!
厳密には、「進角装置(advancer) 」なんですが、パーツリストでは「ガバナー」なので従います。

W1のガバナー、大分くたびれてきて磨耗が進んでいます。



ケースから抜いて単体の状態。
IMG_8873.jpg


カムを抜いてウエイトを外しました。
IMG_8882.jpg


このガバナーは減っている方で、ウエイトだけ組んでみるとガタガタです。
IMG_8886.jpg


ウエイトの穴が広がり、シャフトも磨耗しています。 
IMG_8883.jpg


カムを駆動するピンも磨耗しています。
IMG_6954.jpg


これは別のガバナーですが、スプリングが外れたり変形したりして悲惨な状態です。
IMG_6912.jpg


ウエイトはもっとガタガタ。
IMG_6923.jpg


Wのガバナーは新旧2タイプありますが、どちらも磨耗が進んでいます。
IMG_6934.jpg

ウエイトのガタは点火タイミングを不安定にします。
点火時期がブレるとエンジンの回転が安定しません。 
信号待ちでのエンストの一因・・・何としても避けたいですね。












コンタクトブレーカーのベアリング入換え Ⅱ

ガバナーは問題なくリビルトできましたが、
なんか、ケース側のベアリングの回転が重いのが気になります。



パーツリストをよく読み直すと、このベアリングは「E/№ W1E50775以降 6200ZZ 」・・・とありました。
安易に、組まれていたのと同じベアリング(2RS)を選択したのが間違いでした。
左が2RS、右がZZです。 カタログによると両者とも「適量のグリースを封入」と書いてます。
IMG_7087.jpg
ZZ(シールド付き)に比べて2RS(接触シール付き)は抵抗が大きいのです。
シールが都合5個も付いたら重いわけですよネ・・・やり直します。(汗)


抜いてるうちに、ベアリングとハウジングを測定して締め代も確認しました。
IMG_7092.jpg


ハウジングの内径は-20μですから、ベアリングの締め代は約10μ・・・と大き過ぎることはありませんでした。
IMG_7088.jpg


再度加熱して無事ZZのベアリングが入りました。回転も大分軽いデス。
IMG_7101.jpg


ガバナーシャフト。 オイルシールのリップで荒れた部分もペーパーで滑らかにしました。
IMG_7094.jpg


新しいオイルシールは高さを見ながらリップの当る位置をずらして組み込みます。
このオイルシールもリップの当りがキツイですねよネ~。 もう少し緩くてもいいと思うのですが・・・
IMG_7077.jpg


ガバナーをケースに組んで回転を確かめます。
オイルシールの抵抗を感じますが、大丈夫でしょう。
IMG_7105.jpg


無事にクランクケースに納まりました。
IMG_7107.jpg

分ってるようだけど、まだまだですネ~。 

(ZZに変更されたのはなぜなんでしょう。ギヤが邪魔してオイルが回りにくいのかも知れませんネ~)












コンタクトブレーカーのベアリング入換え

「内パス」の記事で、ベアリングの交換について何件か質問を頂きました。
ハウジングを熱膨張させてベアリングを嵌めるのは訓練が必要です。しくじるとリスクが大きいですからネ。
クランクケースに取掛かる前に、小物のコンタクトブレーカーなどで経験を積めばいいかも知れません。


という訳で、早速やってみましょう。
クランクケースから外したコンタクトブレーカーAssyです。 シャフトを後ろから叩いて抜きます。



ストーブで加熱する前に、しっかり洗浄するのは言うまでもありません!
IMG_6938.jpg


外側のスナップリングを外しておきます。
IMG_6970.jpg


ストーブで加熱。 小さいのですぐ熱くなります。
IMG_6972.jpg


ハウジングが緩んでも、ベアリングが張付いていたり出口でひっかかる時があるので、途中、棒で軽く叩いてやります。
必要以上に加熱したくないですからね。
IMG_6976.jpg


無事に抜けました。
シールタイプのベアリングは過熱したくないですが、換えるからいいですネ。
最後に、ちょっと径の小さい丸棒でオイルシールを打抜きます。
IMG_6981.jpg
ハウジングの汚れを拭き取り、新しいベアリングを入れにかかりますが、 ここで一休みした方がいいでしょう。


改めて加熱します。 ここから内パスの出番ですネ~!
IMG_6985.jpg


十分広がったのを確認したら、下側のスナップリングを嵌め、ベアリングが傾かないよう神経を集中して嵌めます。
忘れずにカラーを入れ、速やかに2個目のベアリングを入れます。
IMG_6987.jpg
最後に手前のスナップリングを嵌めて終了! ゆっくり冷やしてやることが大事デス。

ベアリングが入口でひっかかった時は、プラハンで高いところを軽く叩いてやります。
「慌てないデ!」と言ってもそれは無理 ・・・・・・「とにかく落着いて!」ですネ~・・・ッ(汗)






最新記事
カテゴリ
最新コメント
プロフィール

u-crank

Author:u-crank
U-CRANK
(ユークランク)

〒418-0006
静岡県富士宮市外神(とがみ)1552-1
代表 植澤 勉

TEL:090-1863-8414
FAX:0544-58-2427
e-Mail:info@u-crank.com

当社「U-CRANK」はカワサキバイクW1エンジンのOH(オーバーホール)を行います。
従来困難とされてきたクランクシャフトも完全分解して特製ニードルに交換します。
精度の高い組立てはエンジンの振動を減少し快適な走行を実現します。
W1は製造されてから既に40年経過しています。
分解するとオイル通路に堆積したスラッジによりダメージを受けているクランクが少なくありません。
故障する前に是非早期のOHをお勧めします。
お気軽にご相談ください。

検索フォーム
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

最新トラックバック
月別アーカイブ