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メグロ Z7 腰下整備 Ⅴ

Z7のオーナーからお借りしたピストンリングは古くて希少なので調べてみました。
「エンジンの進化はピストンリングの進化」と言われるので、リングが50年の間にどう進化したのか大変興味深いです。



Z7の2セットのリングのうち、
1つは、合口が斜めなタイプで、合口からのガス漏れ減少を狙ったものです。(STDサイズ )
現在は直角なタイプがほとんどですが、大型エンジンなど一部では現在も採用されているようです。
各リングの寸法を表にすると、
                   (mm)
RINGB寸T寸
TOP3.23.3
2ND3.13.4
OIL5.03.4





もう一つは合面が直角なタイプ(サイズは0.5OV )
                   (mm)   
RINGB寸T寸
TOP3.13.4
2ND3.13.4
OIL5.03.5

IMG_0011_1_20190214140922420.jpg

2セットのリングは、B寸法・T寸法ともほぼ同一ですから、当時の一般的な形状なのでしょう。
張力は測れませんでしたが、とにかく強いです。



現在のリングと比較するために、SR400(Φ87)のピストンリングを測ってみました。
オイルリングは3FLXタイプのレールとエキスパンダーの組立タイプです。
(最新のタイプと一緒かは確認していません)

                   (mm)
RINGB寸T寸
TOP1.23.4
2ND1.53.5
OIL2.83.4

IMG_0008_1_20190214141731c0b.jpg


Z7のリングに対してSR400のリングを比べると、

①TOP・2ND・OILリングとも、B寸が1/2~1/3になった。T寸はあまり変わっていない。

②上記各リングの張力は大幅に弱くなった。

③オイルリングは組み立て式になった。

などです。














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メグロ Z7 腰下整備 Ⅳ

Z7のコンロッドは長いです。
大端部内径Φ38.5、小端部内径Φ20、両者の中心間距離は190㎜もあります。
コンロッドが長めの他のエンジンと比べてみると、
W1は152㎜、トライアンフ650は165.1㎜、単気筒SR400は153.4㎜等々ですから、それらより30~40㎜も長いですね。

Z7のストロークは94㎜もありますから、コンロッドが長いのも当然といえば当然ですが、
この長さがZ7の性能特性にどのように影響しているのか非常に興味の沸くところです。

コンロッドの大小端中心距離をストロークの1/2で割った値を「連桿比」といいます。
計算してみると、Z7の連桿比は190/47=4.042 と4を超えています。
これの値はコンロッドの長さを判断する目安ですが、ストロークの長さも頭において数値を読む必要があります。
そうやって読んでも、ロングストロークのZ7にとっては相当大きな値だと思います。



次に、Z7のクランクのバランス率を求めるために部品の重量を測ります。

コンロッド単体の重量は537.8g。
IMG_0008_20190119171730ce0.jpg
(350g前後のW1コンロッドと比べると重さは約1.5倍)


簡易的ですが小端部重量を測ると187g (全体の0.35)
IMG_0011_2019011917175022e.jpg


クランク組立て完成時に測ったバランス重量。
小端孔にバランスウエイトを付けて、クランクがどの位置でも止まる時の重量を調べます。
IMG_0057_1.jpg


その時のバランスウエイト重量は192.0gでした。
IMG_0058_1.jpg


Z7のSTDのピストン、リング、ピストンピン、クリップの総重量は425.0g
IMG_0029_2019013017135204a.jpg


クランクのバランス率κは以下の式で求められます。
ピストンなど往復部全体の重量に対しするクランク回転部のアンバランス重量の割合を示す値です。
(アンバランス重量とは、クランクのお尻側の重さ・・・ )

これまでの値で計算すると、Z7の値はκ=(192+187)/(425+187)=0.61(61%)となります。
逕サ蜒・002_convert_20111122232311


ちなみに、オーナーが過去にトライした他社のピストンセットを調べると、重量は513g。
バランス率を計算すると、κ=(192+187)/(513+187)=0.54(54%)でした。
IMG_0058_2.jpg
エンジンのフィーリングは大分違ったとのことです。

ピストンやクランクのバランスを変えてフィーリングのいいところを探す時に、
バランス率を計算してみると有効かと思います。











メグロ Z7 腰下整備 Ⅱ

剥離したクランクピンは、今のところ修理不可能で、良品と交換するしかありません。

幸い、今回はオーナーが未使用の当時物クランクピンとローラーを持ってましたので、
交換して修理を進めます。



問題は、この長いコンロッドの曲がり修正と荒れている大端部内面の修正です。
IMG_0042_201901191714585ad.jpg


ローラーの転動面はかなり荒れてますね。
IMG_0056_20190119171551a17.jpg


大端部内径を測定した結果、ホーニング代が取れそうなので安心しました。
IMG_0059_20190119172243c77.jpg


最小限のホーニング加工でローラー転動面を平滑にできました。
IMG_0040_20190119171628c76.jpg
ロッドの曲がりも注意深くプレスで修正できました。(汗)


次はクランク板の確認です。
IMG_0032_20190119182920e46.jpg


単体でのシャフトの振れを確認します。
幸い、シャフトの長いドライブ側、タイミング側とも大きなフレ(曲がり)はありませんんでした。
IMG_0131_20190119181746b71.jpg


いよいよ組立て。
片側の板にクランクピンを組み込み、ロッドのガタを確認します。
IMG_0044_201901191720047f8.jpg


反対側の板を組み込んで、芯フレを修正しながらナットを徐々に締め込んでいきます。
IMG_0045_1.jpg


途中、何回も芯フレを診て修正を加えながら強く締め付けていきます。
IMG_0054_1_20190119182944eea.jpg


併せて、ロッドのサイド隙間をチェックします。
IMG_0065_1.jpg
ナットをめ込んでいって隙間が足りなくなる時は、再度分解してロッドの厚みを落とします。


今回は隙間も確保できて何とか組みあがりました。(嬉)
IMG_0060_20190120165433503.jpg
クランクの組立剛性を確保するために、ナットは目いっぱい締付けたい訳ですが、
良好な芯フレとサイド隙間の確保が大切になります。






















メグロ Z7 腰下整備 Ⅰ

本年も宜しくお願い致します。

昨年末に行った作業ですが、希少なメグロZ7の腰下を整備しました。

メグロスタミナZ7(1956 ): 4サイクルOHV単気筒500㏄ B*S 82.0*94.0

クランクが傷んでいるとのことで、調査を兼ねて分解しました。



R側のカバーを外していくと、カムやギヤ類が現れます。(オイルポンプは付いていない)
IMG_0041_20190112172503679.jpg


中央のギヤシャフトを抜いて裏返すとカムが現れます。
一山で吸排気を賄うカムにはいつも感心させられますね~。
IMG_0045_20190112172523aa6.jpg


分解を進め、タイミング側ケースを外したところ。
直径Φ210の大きなクランクが現れます。
IMG_0052_20190112172616f27.jpg


ドライブ側ケースを温めてベアリング毎クランクを抜取ります。
(ドライブサイドのボールベアリングはスペーサーを挟んで2段)
IMG_0058_20190112172649918.jpg


タイミング側のサイドベアリングはローラータイプです。
クランクピンナットを緩めてクランクを分解します。
IMG_0081.jpg


クランクピンとクランク板はテーパーで締結されています。
ロッドサイドにはワッシャーはなく、表面は多少荒れています。奥の孔はオイル通路。
IMG_0084_201901121734082d6.jpg


コンロッドの形状はW1とそっくりですね。ローラーのケージ(保持器)はアルミ製でごっつい。
IMG_0082.jpg


長いコンロッド。ちょっと曲がってますね。どんな力がかかったのでしょう・・・
IMG_0104.jpg


コンロッドを外してローラーとケージを外してみると、クランクピンの表面は半周に渡って剥離しています。
IMG_0089.jpg


Φ6.35のローラー、形状は保ってますが表面は傷が一杯ついてます。
IMG_0098_20190112173411c1f.jpg


クランクピン表面、転動面の剥離はオイル内のスラッジと疲労よる破壊ですね。
ピンとローラーは交換しないとなりません。
IMG_0108.jpg






















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代表 植澤 勉

TEL:090-1863-8414
FAX:0544-58-2427
e-Mail:info@u-crank.com

当社「U-CRANK」はカワサキバイクW1エンジンのOH(オーバーホール)を行います。
従来困難とされてきたクランクシャフトも完全分解して特製ニードルに交換します。
精度の高い組立てはエンジンの振動を減少し快適な走行を実現します。
W1は製造されてから既に40年経過しています。
分解するとオイル通路に堆積したスラッジによりダメージを受けているクランクが少なくありません。
故障する前に是非早期のOHをお勧めします。
お気軽にご相談ください。

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