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w1sエンジンのOH 27

いよいよケースにピストンとシリンダーを組み込みます。
まず、リングを組んだピストンをコンロッドに取り付けます。
ピストンピンにはオイルを充分塗布し、スナップリングを確実に組みます。
そして、枕木をピストンの下端とケースデッキの間に挟んでピストンを安定させます。
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次に、w1用ピストンリングコンプレッサーでリングを縮めます。
コンプレッサーのバンドをピストンのトップランドが数ミリ出る位置にセットし、バイスグリップで締めます。
ピストンとリングには予めオイルをよく塗っておきます。
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シリンダーをピストンのトップランドにはめ込むように軽く乗せます。
ベースガスケットは予めシリンダー側に軽く貼り付けておくと傷めません。
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シリンダーを両手で静かに水平に押下げるとピストンはスムーズに挿入されます。
バンドはスライドしてスカート下方まで下がります。
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バイスグリップを開放してバンドを緩めます。
シリンダーを軽く持ち上げて枕木を外し、バンドをピストンの下から抜き取ります。
シリンダーをしっかりはめ込み、クランクをゆっくり回してリングが正常に組まれたことを確認します。
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とても気を使う作業ですが、スムーズにいくと嬉しいですネ!
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w1sエンジンのOH 26

タペットをシリンダーに組む前にチェックしました。
「ガイドピン」が入る溝のある方向は上部が、その180度反対側(裏側)は下部が強く光っています。
タペットはスリッパー面がカム面に引きずられて傾くために、上記部分の当たりが強くなっているのが理解できます。
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磨耗量を測ってみると、大きいところで基本径から-20μm。
4本とも段付きなど無く動きもスムーズ、スリッパー面も良好なのでこのまま組みます。
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ガイドピンの六角頭を締め付け、緩み止めにロックワッシャーの耳をしっかり起こします。
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w1sエンジンのOH 25

組立てを開始する前に、シリンダー下端の面取り部分を磨きました。
現在はどうか分かりませんが、20年近く前はオートレースの選手はみなこれをやってました。
こうすると工具を使わなくてもシリンダーをピストンにスッと入れられるのです。
できるだけ早く整備したい彼らには必須の方法だったのでしょうね。
面取り部分の角を丸めてテーパー面を滑らかにしておくと、それに案内されてリングが縮みスムーズにピストンが挿入できるのです。2気筒でもOKでしたネ。


但し、w1の面取り角度はオートのシリンダーより結構大きい !!  測ってみると25度、オートのときは15度でした。
実際に試してみると、トップとセカンドはスムーズ入るのですがオイルリングはちょっと入りずらい。
オートではリングの張力も弱かったことも効いていたのですね。特にオイルリングの張力はかなり落としていた。
今回は無理をせずリングコンプレッサーを使って組むことにします。次回は15度で試して見ましょう。
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w1sエンジンのOH 24

シリンダーのボーリングが終了しました。(w1ファイルには「シリンダーベース」と書いてあります)
ボア径は0.5mmオーバーサイズのΦ74.5mm、ピストン隙間は65μmです。
外観もサンドブラストでリフレッシュ!  黒い塗料を噴きました。
このシリンダーは鋳鉄製、後部下方にタペットガイドが形成されています。
重量は8kgとかなり重い !!
アルミ製ならいいのに・・・と思うのですが、鋳鉄製なのがw1エンジンのw1たるところなんですね!
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クランクケース上面はカムとタペットガイドの関係で大きな口が開いております。
口が大きいとケースの剛性が低くなってしまいますが、それを補っているのが鋳鉄製シリンダーなのです。
肉厚のデッキと8本のボルトで鋳鉄シリンダーをガッチリ一体化してケースの剛性を保っている訳です。
重い上に冷却上も不利なんですが、あえて鋳鉄を踏襲したんでしょうね。
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w1sエンジンのOH 23

ポンプシャフトの太くなった部分を小さなヤスリで擦り落としているところです。
シャフトを強引に抜くと、ハウジング側の孔を傷めてしまうので絶対禁物です。
シャフトがスムーズに抜けるまでせっている部分を注意深く削っていきます。
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やっとシャフトが抜けてポンプを分解することができました。
センタープレートを挟んで、左側がオイルをタンクからエンジンに送るフィード側ポンプ、右側がエンジンからタンクへ戻すリターン側ポンプです。
部品に大きなダメージがなければ再使用できます。オイル通路をよく洗浄して丁寧に組立てます。
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長年の運転により、どのポンプでもローター表面は荒れています。特にリターン側の痛みがひどいです。
これは、エンジン内部の磨耗で出たスラッジがオイルに混じってポンプを通過するときにローターに挟まって表面を傷つけるためです。
残念ながら、新品部品がないので、軽く磨いてから組み付けます。
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w1sエンジンのOH 22

シリンダーをボーリングしている間に、オイルポンプをOHします。

写真がオイルポンプAssy! 鋳鉄製のハウジングの中にトロコイドポンプが2段内臓されています。
ポンプ駆動ギヤを外した後に4つのビスを緩めてクランクケースから分離します。
ガスケットで張付いているので、ハウジングを横から軽く叩いて外します。
.

シャフトの根元をよく見ると、ギヤが入る座の部分が変形して太くなっています。
程度の差はあるものの、必ずここが変形していて、シャフトはすんなり抜けません!
(運転中のクランクシャフトの振れがポンプのギヤをあおっているためと考えられます)

シャフトに打たれたピンを抜いてから、2本のビスを緩めてポンプAssyの分解にかかります。
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3段式のハウジングは2本のノックピンで位置決めされているので、ピンをアッパー側の孔から交互に少しづつ打ち出せばうまく分離できます。
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ロアーハウジングがピンと一緒に外れ、リターン側トロコイドポンプのローターが見えます。
下部のボールはチェックバルブです。
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w1sエンジンのOH⑲

ケースにクランクを組込みました。クランクの回転も軽いです。
快調なエンジンを組上げるためには、この時点で軽く回ることを確認しておくことが大切です。


クランクをケースへ組む様子は前にも書いたので、今日は組込み工具を紹介します。
手前がタイミング側、奥がドライブ側の組込み工具、片側づつ使います。
まず工具をシャフト先端のボルトでクランクに固定します。
次に工具のナットを回してフランジを押してケースをクランクにはめ込む理屈です。
逆にフランジを介してケースを引抜けば分解することができるので、分解・組立て両用です。
w1のパーツはヤワではないけれど、組む時にクランク・ケース・ベアリングには余計な力を懸けたくありません。
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タイミング側クランクシャフトの先端につくオイルポンプピニオンボルト逆ネジでピッチも2種類あります。
このクランクではp:1.5ですが、後期にはp:1.25になっています。いつから切替ったのか正確には分りません。
工具としては両方使えるようにボルトを交換式にしてあります。
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逆ネジは緩み防止の目的ですが、知らないでネジ切ってしまったクランクをよく見ます。要注意デスネ!

w1sエンジンのOH⑱

サイドベアリングを圧入する前にケース側ハウジングの内径を測定します。
通常、ハウジングはベアリングの外径より僅かに小さく出来ていて、組むとベアリングアウターを少し締付けます。
ベアリング外径とハウジング内径の差、いわゆる「締め代」の設定は大変微妙で、大きすぎるとベアリングの回転が重くなり、小さいとアウターが回ってしまいます。

ベアリングの性能を保つために、アウターの内径は真円でしかも適切な締め代でいて欲しいのですが、
実際は変形していて、楕円だったり内径が広がって緩くなったりしています。 
その修正は簡単ではないので、ここでは真円度と締め代の把握に留めています。


続いて、油圧プレスでベアリングを圧入します。
ケースやベアリングに余計な力がかからないようにセットして、平行に押していきます。
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タイミング側ケースも同様に!
中に馬をかってケースを浮かしてハウジング部だけに力がかかるようにします。
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ベアリング圧入後、タイミング側ケースにはベアリングホルダーをネジ止めします。
後で緩まないよう締付け後にポンチでカシメて終了です。
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クランクの性能を引出すために、この辺はとても重要なのです!!

w1sエンジンのOH⑰

暫く更新が滞りました。
この間クランクケースの洗浄を進めておりましたが、これが中々大変!
結局サンドブラストのお世話になりまして、やっとここまで来たという感じです。
w1のケースはいわゆる「砂型」仕様で、砂型の自然な地肌を出したいのですがこれがかなり難しい・・・


サンドブラストをかけずに自然体で行きたいと思うのですが、現物はあまりに汚れがひどい。
今回はリフレッシュの意味であえてサンドブラストをかけました。
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ネジ孔・ブッシュ孔等をよくマスキングして、ブッシュ表面の保護とあとの洗浄をやりやすくします。
オイル通路の掃除は徹底的にやります。可能な限り目で覗いて確認します。
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w1sエンジンのOH⑯

続いてタイミング側の圧入。
既に組んだドライブ側には力を掛けたくない訳で、ダイセットの下側には写真のようなスタンド(馬)を介してバランサーをセットします。コンロッド以下ドライブ側クランクは中で少し浮いた状態になっています。
ダイセット上側にはクランクシャフトを正確にセットします。
以下同様にストッパーを挟んで一気に圧入します。



無事タイミング側も圧入され、芯振れ調整をして完了となります。
ちなみに、芯振れの目標値はシャフト外周振れで2/100mm(芯振れで1/100mm)以内としています。今回も目標値に入り安心しました(喜)。
たまにはなかなかスムーズに目標値に入らないクランクもあります。原因は微小な精度の積重ねの結果なのですが、そんな時は落着いて最初からやり直すことになります。
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オイル通路にメクラを締付け、バランスチェックしてクランクのOHは完了です。
バランスウエイトの重量は374g。OH前と変わりません。
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この後、ケースへの組付け・シリンダー・ヘッドの組付けと進みます。
済みませんが、ブログはお盆休みを頂き、20日頃から再開させて頂きます。また観てくださいネ。

w1sエンジンのOH⑮

w1sのクランクを組んでいきます。
バランサー(w1ファイルではこう呼んでいる)をダイセットの下側に、クランクシャフトを上側にセットします。
クランクピンにコンロッド・ニードルベアリング・ワッシャーを組み付けたら圧入準備完了です。

前にも書いたように、このとき最も大事なのはバランサーとクランクの位相がズレないよう正確にセットすること。
少しでもズレると正確な芯は出ないのでもう一度分解してやり直すしかありません。かなりシビアなセットが必要なのです。
小型のクランクではこのズレを銅ハンマーで叩いて修正しますが、ピン径Φ39のw1では叩いてもビクともしないのです。

ロッドのサイド隙間を確保するストッパーを挟んで一気に圧入します。


ドライブ側が圧入されました。
この状態で一旦芯振れを確認し、次工程に進みます。
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組立クランクとはいえ、w1のクランクは剛性が高いです!

w1sエンジンのOH⑭

いつもクランクの話ばかりで恐縮ですが、クランクがみせる色々な表情を伝えたくて写真を撮ったり書いたりしています。 
最近、ネタが切れたらどうしようと焦る事もありますが、話題はまだまだいっぱいあると信じて気を静めております。

写真はドライブ側のクランクとコンロッド。
手入れが済んで今まさに組立てられようとしているところです。
コンロッドは40年の垢が取れたようにきれいになりました。


ドライブ側とタイミング側。
Wは部品がしっかりしているので安心して組んでいけるから嬉しいですネ。
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w1sエンジンのOH⑬

整備進行中のw1sのコンロッドです。
洗浄は、鉄ブラシで根気よく表面を擦っていきますが、徐々に銅メッキの地肌が出てきて意外なほどきれいになります。新品の時はもっと輝いていたんでしょうね。
ちょっと面白いのは、
コンロッドを戦前には「連桿棒(レンカンボウ)」と呼んでました(そうです)が、その桿部の片面に「MADE IN JAPAN」と浮き文字で表示されているのですが、その書体が何種類かあるのに気づきます。
写真手前がW1Sのコンロッドで太く小さめな書体です。奥はW1SAのコンロッドで大きく細い書体です。


同じ書体でも写真のように隙間が違ったり、何種類かのタイプあるようです。
コンロッドを製作したメーカーや金型の違い、それともWの年式によって変えたのでしょか。聞いてみたいですネ。
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w1sエンジンのOH⑫

クランクに剥離が見つかって暫く落込んでいましたが、気をとり直してストックの中から適合するものを見つけました。(写真左側)
見つけたものの、メクラネジが取れず、手こずった末にやっと外れました。


「適合」とは、ストロークのピッチサイズが同一Grのこと !
剥離したクランクはGr1だったので合わせた方が組んだ時に芯がしっかり出ます。ところがGr1は少ないんです。
いずれにしてもストックがあって幸いでした。これでw1sエンジンのOHを再開できます。
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話は変りますが、小生が11万km走行w1sクランクをOHしている間、オーナーのUさんはクランクケースをリフレッシュしてました。
スタットボルトやメクラ類を全て外し、徹底的にきれいにされたクランクケースです。(気合が入ってますネ~)
もともと頑丈に出来ているので傷んでいるところはありません。まるで新品のようですね。組立が楽しみでス!
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Uさんの方の準備ができ次第クランクの組み付けも応援します(汗)。乞うご期待 !!

w1sエンジンのOH⑪

ピン周りのオイルを拭き取って剥離部分をよく見ると、
クランク位置で上死点を少しすぎたところ、縦幅最大5mm、横幅13mm(中央の曇っている転動面幅)で剥離しています。
分解前に外からでは分りませんでした。

資料によると、
フレーキング(剥離):材料の転がり疲れによって転動面の表層部がうろこ状に剥れる現象
簡単に言えば軸受けが寿命に達したということですが、寿命を早める要因は過負荷運転と潤滑不良とされています。

コンロッド側の転動面には剥離はありませんが表面は粗れています。
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ニードルの表面も同様です。
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w1sエンジンのOH⑩

クランクを分解しました。協力工場の機械で抜きます。
各部品を細かくチェックしていくと・・・



バランサーには他のクランクと同レベルでスラッジが堆積しています。ただ一部欠けているのが気になります。
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ピン端面にもスラッジ堆積の境界が白く残っています。
境界がピン孔まで架かっているということは、この部分への堆積はもう満杯で、これ以後はピン孔の中にも溜りながら増えていくということですね。
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ショック !!  
コンロッドを外してみると、タイミング側のクランクピン表面に剥離が見つかりました。
これは深刻な事態で、この剥離はいまのところ修正不可能なのです。
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(幸い、ドライブ側クランクには剥離はありませんでした)

w1sエンジンのOH⑨

ケースの分解!
まず、ケース左右を締付けているナットを全て緩めます。
ケースドライブ側に専用プーラーを固定します。固定はフロントチェーンケースを止める4つのネジ孔を利用します。
プーラーのセンターボルトを廻してケースをクランクから引き抜きます。


ケースドライブ側が外れました。カムシャフトも外しておきます。
写真のように、サイドベアリングがクランク側に残りますが、ケースの締めが甘いのか・・・それともシャフトの締めがきついのか・・・。後でケースハウジング側とシャフト側の締め代を確認します。
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ケースを起こし、タイミング側も専用プーラーを固定して同じ要領でケースを外します。
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ドライブ側のベアリングを抜いて完了です。
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w1sエンジンのOH⑧

アイドラシャフトのプレートを外してみると、4つのダンパーラバーが変形しスプロケットとボデーがかなりズレています。硬化したラバーゴムはきつく挟まっていて、ボデーが簡単には空転しそうもないですが、ダンパー効果は期待できません。
(幸いにもダンパーラバーはリプロパーツが出ているので交換できます。ありがたいですネ)
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このズレ方を良く見ると、ダイナモスプロケットがボデーを回そうとしているように見えますがどういうことでしょうネ。
ダイナモの慣性力のせいでしょうか・・・


思案しながら分解を進めていきます。
プーラーを使ってアイドラシャフトからスプロケットボデーを外します。
各ギヤにプーラー用のネジ孔が切ってあって整備性がいいですネ。親切設計だと思いまス。
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ギヤ類・チェーン・オイルポンプ・コンタクトブレーカー・ダイナモを取り外し、ケースをミッションから切り離しました。

次工程でケース分解プーラーを付けるためにクランクシャフトベアリングホルダーも外しておきます。

w1sエンジンのOH⑦

w1sのOHを再開 !!
ケースを割る前に、タイミング側のギヤ類・スプロケット・チェーンを順次外していきます。
クランクの回り止めはクランクとケースの間に木片を挟みます。
ミッションが付いてケースのすわりがいい今のうちに、ギヤを締めているボルトやナットを全部緩めます。
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緩める時に気をつけることは、クランクシャフトのボルトとカムシャフトのナットは逆ネジなので時計方向に回すこと。
これは要注意!! 
バラす前には見えないので、この写真でネジ山の方向をしっかり頭に入れて覚えておきます。
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こちらはカムシャフトのネジ山。
逆ネジを忘れて左に回したら、早く異常に気づくこと。(?)
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w1sエンジンのOH⑥

バルブを抜いた燃焼室。カーボンが多いけれどまずまずの状態です。
吸気側シート面は光ってはいますが当り幅が広いです。排気側はほとんど全周錆びてカーボンも噛んでる状態です。しかし両者とも大きな磨耗はなくシートカットで十分再生可能です。
吸気ポート径に注目すると、理想はインマニ内径(Φ32)からスムーズにシート内径(Φ33)に繋がってほしいところですが、出口付近はシート内径よりも大きくなっていて段差ができています。太いバルブガイドの分を考慮して広げているのでしょうか?


排気バルブ。
シート当り面はカーボンで覆われ磨耗して凹んでいます。全幅でシートに当っている感じですね。
当り幅が広いのはガイドとの隙間が広がってバルブが遊んでいるためでしょう。燃焼ガスの気密も保てなくなります。
前にも書いたように、バルブがガタガタしていてはエンジンの性能は出ません。ガイドとの建付けが非常に大事!


排気バルブとガイド。
写真では、バルブガイドの穴がえらく大きいですが、そっくり磨耗した訳ではありません。
このエンジンの排気バルブガイドは、ポート側端面から10mmまで内径が1mm広くできています。
古いエンジンで時々見られる手法で、ステムに付着するカーボンをカットする目的とかと聞いていますが正確かは分りません。むしろ逆効果と思われるくらいカーボンが多く着いています。別の目的かもしれませんね。
いずれにしてもガイド穴の磨耗が大きいです。

w1sエンジンのOH⑤

ヘッドの分解!
ヘッドガスケットが張付いたままだがバルブを分解した後に剥すことにする。
このヘッドはインマニフランジ脇のフィンがスッキリしている。
何個かのヘッドを並べて置いてみると、細かいところで形状が違うのに気付く。数種類のタイプがあるようだ。
鋳造型の更新の時に改良変更されたのかも知れない。

バルブステムヘッドが4箇所とも磨耗している。アジャストスクリュー側も球面がデコボコ。
このままではタペット音が大きくなり、磨耗が進行する。

バルブスプリングを外したところ。
ゴムが一部欠け落ちているが初期のステムシールの様子が分る。
バルブガイド端がリップ状に仕上げられ、ちょっと内径が小さいゴム製のシールプレートがはめ込まれている。
バルブはステム径がΦ8のタイプでゴツイ! 吸・排気バルブともガイドとのガタが大きい。

w1sエンジンのOH④

分解を進めます。
ドライブ側、フロントチェーンとクラッチをはずしたところ。
チェーンケースはクランクケースに5つのボルトで固定されている。
チェーンの張り調整で位置が変わるミッションとは直接は固定されていない。


ピストンをはずした後に、いよいよタイミング側のYカバーをはずす。
オイル交換が少なかったのか、20年の間にオイルが酸化したのか分らないが中はかなり黒い。
それでも、ビスや折り曲げワッシャーを見ると分解された形跡はない。
ダイナモチェーンにたるみはあるものの、各部品はしっかりしていて、洗えば新品状態になるだろう。
w1が長寿命であることを納得させる光景だ。凛とした存在感がありますね。


はずしたYカバーの裏面底部。
クランクへ向かうオイル通路の両脇にペースト状のスラッジが堆積している。
ピストンリングやギヤがなじむときに出た微細な鉄粉がオイルとともに循環して淀むところに堆積する。
エンジンの寿命を縮める癌みたいなもの。

w1sエンジンのOH③

フロントチェーンケースカバーを外し、クランクを静かに回してピストンを下死点まで下げていく。
リングの固着はないようで、ピストンはスムーズに動いてシリンダー内面が見えてきた。
部分的に縦傷や錆びが見られるが深い傷などなく大体の部分が光っている。20年の歳月を考えると状態は良い方なのでしょう。ピストンの止まっていた位置が良かったのかも知れない。



フロントチェーンケースの中のオイルはほとんどなかったがチェーンやスプロケットに錆びは出ていない。
チェーンにはタルミがなくちょっと張り過ぎのようだ。
シリンダーを抜く前にここでクランクのボルトを緩めておく。
クラッチを分解してハウジングを止めているナットも緩めておくと後々分解がスムーズに進む。



シリンダーを抜いてみると、ピストンのスカート部は意外ときれいだった。
焼付き跡が残っているピストンが多いが、このエンジンには全く見られない。


それにしても、w1のリングは厚いですネ~! (正確には幅が広いという言い方になりますが)
w1のリングの幅(いわゆるB寸)は2.0mm、現在のバイクの1.0~1.2mmに比べると約2倍ということになります。
逆に言えば、ピストンリングは進化してB寸が半分になったということ・・・。
リングの薄幅化はここ数十年のエンジンの進化の象徴ともいえると思いますが、奥は非常に深い。
また次の機会にじっくり観察しましょう。

w1sエンジンのOH②

いよいよw1sエンジンの分解! 燃焼室を早く見たい。
外観の汚れを落としリフト台へ。
ミッションは、エンジンの座りがいいので、シリンダーまで分解してから分離することとした。



ロッカーカバーとヘッドをはずしてみると、
ピストン頭部は、カーボンは多いものの状態はいい!
左シリンダーに僅かに水が入った跡があった。(プラグがついていなかった側)



ヘッドの燃焼室も正常。排気バルブの焼けの違いも確認できる。
20年の歳月の割にはいい状態と言える。
長期間放置されたエンジンでも、燃焼室に水が入っていなければダメージは少ないものです。

w1sエンジンのOH①

お客様からお預かりしたW1Sのエンジンとミッション !! 20年間倉庫に眠っていたそうです。
ほこりが積もっていたけれど、ひどい汚れもなく保管状態は良かったようです。
ミッションを分離した痕もなく・・・どうやってフレームから降ろしたんでしょうネ。
キックは下がるので固着はないようですが、中の状態はどうなってるんでしょう。分解が楽しみデス!(汗)
(他の修理と同時進行ですが時々報告します) 


エンジンカバーとチェーンケースカバーはSA以降のデザインに比べるとシンプルだが、メグロの面影がより強く感じられる。

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u-crank

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(ユークランク)

〒418-0006
静岡県富士宮市外神(とがみ)1552-1
代表 植澤 勉

TEL:090-1863-8414
FAX:0544-58-2427
e-Mail:info@u-crank.com

当社「U-CRANK」はカワサキバイクW1エンジンのOH(オーバーホール)を行います。
従来困難とされてきたクランクシャフトも完全分解して特製ニードルに交換します。
精度の高い組立てはエンジンの振動を減少し快適な走行を実現します。
W1は製造されてから既に40年経過しています。
分解するとオイル通路に堆積したスラッジによりダメージを受けているクランクが少なくありません。
故障する前に是非早期のOHをお勧めします。
お気軽にご相談ください。

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