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11万km走行w1SAクランクのOH②

ドライブ側クランクピン
表面に剥離は見られないがニードル転動面は少し茶色に変色している。
他のクランクと比較すると、変色の度合いは強い。


タイミング側も同様のレベル。
ニードル転動部から上側に少し離れた線はサイドワッシャーの内角が当った傷跡。運転中のクランクのストレスの強さが推測される。その上の線はバランサーとの圧入の境い目。
2つの線はすべてのクランクで見られ、このレベルでは問題にならない。


対するコンロッドの内面。
剥離はないが、クランクピン同様に内面のニードル転動部は少し変色している。


ニードルベアリング。
ニードル表面の当りも強い。

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11万km走行w1SAクランクのOH①

お客様より依頼を受けたw1SAのクランクOH。
オーナーのUさんは父親から引継いだSAを乗り続け、現在の走行距離は11万km!
親父さんは1971年に新車で購入、3万km走って2000年に息子に譲り渡したと言う。
w1ではよく聞く話ですが羨ましいですネ。11万km走行の現役は素晴しい !!

今回、Uさんは自分でエンジンのOHを決行、弊社がクランクのOHを担当することになりました。
早速分解して各部の点検に入りました。
このクランクのバランサー(センタークランク)には調整穴が開いておらず素性がいい。


懸案のスラッジは他のクランクと同レベル。特別多くはない。
スラッジンの量は日頃のオイル管理や乗り方など色々関係しているのでしょう。
写真はバランサーの穴(クランクピンが圧入される)に溜まった半月状のスラッジ。
遠心力のせいでこのような形に堆積する。


スラッジを拡大した写真。
両側から圧入されたピンとピンの隙間に堆積している。
塊で崩れるとクランクピンやコンロッドにダメージを与える。

w1sエンジンのOH⑥

バルブを抜いた燃焼室。カーボンが多いけれどまずまずの状態です。
吸気側シート面は光ってはいますが当り幅が広いです。排気側はほとんど全周錆びてカーボンも噛んでる状態です。しかし両者とも大きな磨耗はなくシートカットで十分再生可能です。
吸気ポート径に注目すると、理想はインマニ内径(Φ32)からスムーズにシート内径(Φ33)に繋がってほしいところですが、出口付近はシート内径よりも大きくなっていて段差ができています。太いバルブガイドの分を考慮して広げているのでしょうか?


排気バルブ。
シート当り面はカーボンで覆われ磨耗して凹んでいます。全幅でシートに当っている感じですね。
当り幅が広いのはガイドとの隙間が広がってバルブが遊んでいるためでしょう。燃焼ガスの気密も保てなくなります。
前にも書いたように、バルブがガタガタしていてはエンジンの性能は出ません。ガイドとの建付けが非常に大事!


排気バルブとガイド。
写真では、バルブガイドの穴がえらく大きいですが、そっくり磨耗した訳ではありません。
このエンジンの排気バルブガイドは、ポート側端面から10mmまで内径が1mm広くできています。
古いエンジンで時々見られる手法で、ステムに付着するカーボンをカットする目的とかと聞いていますが正確かは分りません。むしろ逆効果と思われるくらいカーボンが多く着いています。別の目的かもしれませんね。
いずれにしてもガイド穴の磨耗が大きいです。

w1sエンジンのOH⑤

ヘッドの分解!
ヘッドガスケットが張付いたままだがバルブを分解した後に剥すことにする。
このヘッドはインマニフランジ脇のフィンがスッキリしている。
何個かのヘッドを並べて置いてみると、細かいところで形状が違うのに気付く。数種類のタイプがあるようだ。
鋳造型の更新の時に改良変更されたのかも知れない。

バルブステムヘッドが4箇所とも磨耗している。アジャストスクリュー側も球面がデコボコ。
このままではタペット音が大きくなり、磨耗が進行する。

バルブスプリングを外したところ。
ゴムが一部欠け落ちているが初期のステムシールの様子が分る。
バルブガイド端がリップ状に仕上げられ、ちょっと内径が小さいゴム製のシールプレートがはめ込まれている。
バルブはステム径がΦ8のタイプでゴツイ! 吸・排気バルブともガイドとのガタが大きい。

母校の研究室では・・・

この週末、1年ぶりに母校(東京都市大学)内燃機関研究室に行ってきました。
写真は実験棟と歴代の「水素自動車」。



水素燃料で運転中のトラック用コモンレールエンジン。水素の噴射弁のテストとのこと。
特殊なセンサーは今でも学生の手作りだそうだ。



エッ!?   学生を指導している白衣の女性は・・・・さっき2階で会った「しょこたん」似の卒業生?

w1sエンジンのOH④

分解を進めます。
ドライブ側、フロントチェーンとクラッチをはずしたところ。
チェーンケースはクランクケースに5つのボルトで固定されている。
チェーンの張り調整で位置が変わるミッションとは直接は固定されていない。


ピストンをはずした後に、いよいよタイミング側のYカバーをはずす。
オイル交換が少なかったのか、20年の間にオイルが酸化したのか分らないが中はかなり黒い。
それでも、ビスや折り曲げワッシャーを見ると分解された形跡はない。
ダイナモチェーンにたるみはあるものの、各部品はしっかりしていて、洗えば新品状態になるだろう。
w1が長寿命であることを納得させる光景だ。凛とした存在感がありますね。


はずしたYカバーの裏面底部。
クランクへ向かうオイル通路の両脇にペースト状のスラッジが堆積している。
ピストンリングやギヤがなじむときに出た微細な鉄粉がオイルとともに循環して淀むところに堆積する。
エンジンの寿命を縮める癌みたいなもの。

ピストンリング

ピストンリングでは、シリンダーと接触している寸法が「幅」で、ピストンの溝に入っている寸法が「厚さ」と呼びますが、今だに幅(B寸)と厚さ(T寸)が反対の感覚に陥ってしまいます。
りんごの皮をむくとき、
うまい人は幅を狭く薄くむけるが、下手な人は幅が広く果肉まで厚くむいてしまう・・・
りんごで考えるとピストンリングの幅と厚みの関係はスッキリするかも知れませんね。(説明が苦しい)



w1sエンジンのOH③

フロントチェーンケースカバーを外し、クランクを静かに回してピストンを下死点まで下げていく。
リングの固着はないようで、ピストンはスムーズに動いてシリンダー内面が見えてきた。
部分的に縦傷や錆びが見られるが深い傷などなく大体の部分が光っている。20年の歳月を考えると状態は良い方なのでしょう。ピストンの止まっていた位置が良かったのかも知れない。



フロントチェーンケースの中のオイルはほとんどなかったがチェーンやスプロケットに錆びは出ていない。
チェーンにはタルミがなくちょっと張り過ぎのようだ。
シリンダーを抜く前にここでクランクのボルトを緩めておく。
クラッチを分解してハウジングを止めているナットも緩めておくと後々分解がスムーズに進む。



シリンダーを抜いてみると、ピストンのスカート部は意外ときれいだった。
焼付き跡が残っているピストンが多いが、このエンジンには全く見られない。


それにしても、w1のリングは厚いですネ~! (正確には幅が広いという言い方になりますが)
w1のリングの幅(いわゆるB寸)は2.0mm、現在のバイクの1.0~1.2mmに比べると約2倍ということになります。
逆に言えば、ピストンリングは進化してB寸が半分になったということ・・・。
リングの薄幅化はここ数十年のエンジンの進化の象徴ともいえると思いますが、奥は非常に深い。
また次の機会にじっくり観察しましょう。
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e-Mail:info@u-crank.com


当社「U-CRANK」はカワサキバイクW1エンジンのOH(オーバーホール)を行います。

従来困難とされてきたクランクシャフトも全分解して特製ニードルに交換します。
精度の高い組立てはエンジンの振動を減少し快適な走行を実現します。

W1は製造されてから既に40年以上経過しています。
分解するとオイル通路に堆積したスラッジによりダメージを受けているクランクが少なくありません。
故障する前に是非早期のOHをお勧めします。

お気軽にご相談ください。

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