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ピストンリングの仕組み ⑨

ピストンリングを装着(再組立)
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「ピストンリングは回転している」・・・これは実験で確認されています。

回り方は、エンジン速度によって1箇所で往復したり、ほとんど静止したり、一定回転したり・・・と規則性は小さいそうですが、高速域では必ず回り、その速さは最高で10rpm位、しかも左回転だそうです。

なぜ回るのかメカニズムは分っていませんが、溝面とのすり合わせも早く進み、均一な接触が得られやすくなります。・・・自分で馴染んでいくんですネ~。(偉!)

実際エンジンをバラすと、合口が移動していることからもリングが回っていることが分ります。

通常3つのリングの合口を遠く(120°)にセットしますが、傷めないで組むことが重要!

リングコンプレッサーを使ってシリンダーを装着。 細心の注意が必要デス!!
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ピストンリングの仕組み ⑧

W1トップリングの合口すき間(0.3㎜)
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ガス漏れの最大通路はリングの合口だそうです。長い実験の結果から判明しました。

従って、合口すき間を小さくすることがガス漏れを減らす要諦になります。

ほとんどのリングは直角合口(ストレート)形状が多く、すき間は最小に作られています。面取りもされていません。漏れ通路が広がるからです。

ガス漏れは、出力を低下させることはもちろん、漏れ通路が加熱されてピストンの高温化につながります。
更に、漏れたガスの成分がオイルを劣化させてエンジンの耐久性を下げます。排ガス浄化にも逆行する現象です。

多くの役割を担っているピストンリング。非常にデリケートなところで成立っているのですネ~。

ピストンリングの仕組み ⑦

数時間運転したW1のピストンリング(現代版)
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リングの断面形状は単純に矩形(四角)ではなく、機能によって色々な形に仕上げらていてます。

2ndリングの外周形状がテーパーなのはよく知られていますが、これは油掻き機能を持たせているのですね。

Topリングはほぼ全てのエンジンでバレルフェース(BF)型、円弧状の外周形状をしています。

これはなぜなのか・・・

実は、この「円弧形状」がリングの摺動面に高圧の油膜を保持し、ガス漏れを防いでいるのです。

矩形断面のリングでも、数十時間運転すると摺動面は上下端が磨耗してかまぼこみたいな円弧形状になるそうです。
この磨耗は「だれ」と呼ばれ、その量eは経験的にe≒B寸/1000。
数ミクロンの値ですが、これが油膜形成のために最適な値なのだそうです。

運転によって、リングはほぼ理想的な輪郭に自動的に形成されるのですね~。(不思議)

すなわち、予めその形状に近付けたのが「BF型」といえます。慣らし時間も短縮されますネ。

近年の実験解析で、ピストンリングはシリンダーに対して傾き角を変化させながら摺動してしていることが確認されました。

リングの挙動が見えてくるようですネ~。

ピストンリングの仕組み ⑥

薄幅リングが実用化できたのは多くの技術進化のお陰です。
代表的なものを上げると、

材質変更:従来の鋳鉄からスチール化が進みました。2ndリングもスチールに向かっているそうです。
スチールでより適切な張力をもたせた薄いリングが製作可能になったのですね。

表面処理:この数十年のリングの進化には欠かせない技術進化です。
すなわち「より硬く薄い表面処理」が可能になったからなんです。
リングは薄幅化で油膜が薄くなりオイル消費が減ると、容易にシリンダと接触して磨耗が増えます。
摺動面に適切な材料を付けることで摩擦や摩耗を低らして熱伝導性を高めているそうです。
最近の技術ではIP(イオン)処理、DLC(ダイアモンド)処理などが代表選手です。

高い精度で安定的に作る生産技術がこれらを支えているのは言うまでもありません。


現在の一般的なオーバイのリング。 トップはスチール製でCrメッキが施されています。2ndは鋳鉄製。
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別の機種のリング。 2ndリングにも表面処理が施されてあります。
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レース用リング。 フリクションを減らすためにTop、2ndリングともチタンコーテングされています。
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ピストンリングの仕組み ⑤

左が純正ピストンとリング(1966~1974)、 右が現代版のピストンとリング。
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「薄幅化」が進んだ理由をもっと調べてみました。文章が長くなりますが整理してみると、

「張力低減」
張力(リング自体がシリンダーに張付く力)を下げると摩擦力は下がり「燃費向上」に寄与します。
下げ過ぎると、ガスの気密性が悪くなり、オイル消費も増えるので限度はあります。
薄幅リングは適切な強さで全周均一な張力を作りやすいのです。

「ガスの気密性」
リングはガス圧で溝下面に密着している時に気密性の保持・潤滑など良好に機能します。
しかし、上・下死点近くでリングが浮上る現象(フラッタリング)が起きる場合があります。
これはピストンの進む方向が変わる時にリングの慣性力と摩擦力がガス圧を上回ったときに発生します。
リングが浮上がるとガスの気密性は大きく下がり、オイル消費も増大、熱の伝達も下がります。
リング幅を薄くして軽くすれば、慣性力が下がり、摩擦力も減って浮上りを高回転側にもっていけるわけです。

「オイル消費低減」
オイル消費対策には、薄いリングにして面圧を高めた方が効果的だそうです。
3Flexオイルリングは上下のレールが薄い上に低張力でシリンダーへの追従性が良くオイル掻き機能が高いのです。

エンジンの摩擦のうち、1/3がピストン系(ピストンとリング)だそうですから、石油ショック以降、技術者は全力でリングの改良に取り組みました。
リングは薄幅化で燃費向上、気密性能アップ、オイル消費低減、熱伝達性向上に大きく寄与したのです。

ピストンリングの仕組み ④

なぜ「薄幅化」が進んだのか・・・
それはエンジンの「燃費改善」にとって、リングの「薄幅化」が非常に有効だからだそうです。
すなわち、リングの幅が減ると、シリンダーを滑るフリクションが減るからですネ。
重量も半分になりますから、これはフラッタリング対策にもなります。
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ただ、シリンダーに接する面積が半減すると、リングの「熱伝達効果」が落ちるハズですが、実際は薄くしても差は少ない・・・すなわち、冷えはそう悪くならないのだそうです。

その理由は、
①リングの幅が狭いと、油膜が薄くなり熱の伝達が良くなる。
②摩擦力も小さくて発熱量が低い。

熱の伝達には油膜厚さが大きく関わっている・・・ この辺りが実験によって解明されたのですネ~。
また、全リングが伝える熱量の半分はTOPリングが担っているそうです。TOPリングの働きは大きいのですね。


ピストンリングの仕組み ③

ピストンリングの進化を理解するために、 「ピストンの熱をシリンダーへ伝達」について注目!
そのメカニズムは理解しているような、いないような・・・ 教科書を読み直してみました。

まず、純正(発売当時)と現代版リングの寸法・重量をしっかり測って比べてみました。
純正リング(1966)
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現代版リング
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B寸(㎜)                     
純正現代版現/純
TOP2.01.20.6
2nd2.01.20.6
OIL4.02.30.6
         





T寸 (㎜)
純正現代版現/純
TOP3.22.80.9
2nd3.23.21.0
OIL3.32.80.9






重量(g)
純正現代版現/純
TOP10.05.60.6
2nd10.26.20.6
OIL14.65.40.4
TOTAL34.817.20.5







純正に対して現代版は、
①B寸は40%小さい。
②T寸は同一か少し小さめ・・・B寸が小さくなったために、T寸が大きくなったと錯覚してました。
③重量は50%軽量。
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当社「U-CRANK」はカワサキバイクW1エンジンのOH(オーバーホール)を行います。

従来困難とされてきたクランクシャフトも完全分解して特製ニードルに交換します。
精度の高い組立てはエンジンの振動を減少し快適な走行を実現します。

W1は製造されてから既に40年経過しています。
分解するとオイル通路に堆積したスラッジによりダメージを受けているクランクが少なくありません。
故障する前に是非早期のOHをお勧めします。

お気軽にご相談ください。

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